ペースメーカーを装着した患者さんの看護について。注意点や方法を解説

ペースメーカーとは、周期的な電気刺激を心臓に与えることで心臓の収縮をコントロールする機器です。徐脈性不整脈(じょみゃくせいふせいみゃく)等の治療に用いられます。体内に直接機械を植え込むので、手術前や手術直後に強い不安を覚える患者さんも多いでしょう。また、看護する方も緊張します。特に、新人看護師は「ペースメーカーの患者さんの看護を任されたけれど、どのような点に注意すればいいか分からない」と悩むこともあるでしょう。
そこで、今回はペースメーカーを装着した患者さんの看護について解説します。

  1. ペースメーカーの基礎知識
  2. ペースメーカーを装着した患者さんの看護方法
  3. ペースメーカーの看護に対するよくある質問

この記事を読めば、ペースメーカーを装着した患者さんの看護に関する注意点などもよく分かるでしょう。ペースメーカーを装着した患者さんの看護をする予定がある、という看護師さんは、ぜひ読んでみてくださいね。

1.ペースメーカーの基礎知識

はじめに、ペースメーカーとはどのような医療機器かということを解説します。

1-1.ペースメーカーとは何か

前述したように、ペースメーカーとは、周期的な電気刺激を心臓に与えることで心臓の収縮をコントロールする医療機器です。もともと、心臓には洞結節(どうけっせつ)という収縮をコントロールする器官があります。洞結節が正常に働いていれば、心臓は興奮すれば早く収縮をくり返し、リラックスしているときはゆっくりと収縮するでしょう。しかし、何らかの原因で洞結節自体がうまく働かなくなったり、洞結節から出る電気信号がうまく心臓全体に伝わりにくくなったりします。すると、脈が遅くなり、動悸(どうき)・息切れ・失神などの症状が出ることもあるでしょう。これが、徐脈性不整脈(じょみゃくせいふせいみゃく)という病気です。徐脈性不整脈は、薬物でも治療が可能ですが、薬物治療で効果が出ない場合は、ペースメーカーを植え込む治療が行われます。

1-2.ペースメーカーの機能と種類

ペースメーカーには、刺激・感知・抑制・同期といった4つの機能があります。この機能を組み合わせて心臓の動きを察知し、不整脈を改善するのです。
また、ペースメーカーは本体(ジェネレーター)と心臓に刺激を伝える電線(リード)から成り立っています。ペースメーカーはジェネレーターとリードの両方を体内に植え込む場合と、リードだけを植え込む場合があり、それぞれ永久型・体外式と呼ばれているのです。なお、体外式ジェネレーターは長期間つけ続けることができません。ですから、永久型を装着するまでのつなぎとして取りつけられることが一般的です。

1-3.ペースメーカーの取りつけ方

永久式ペースメーカーは、胸部にジェネレーターを植え込んでリードを心臓に通す方法と、腹部にジェネレーターを植え込んで心臓の表面にジェネレーターを張りつける方法があります。胸部に植え込む方法は局部麻酔で行うことができ、手術時間も1~2時間程度です。腹部に植え込む場合は、開胸して心臓の表面にリードを張ります。

2.ペースメーカーを装着した患者さんの看護方法

この項では、ペースメーカーを装着した患者さんの看護について解説します。どのような点に注意したらいいのでしょうか?

2-1.手術手技に関する注意点や観察方法

前項でご紹介したように、ペースメーカーはジェネレーターやリードを体内に植え込みます。そのため、手術後に穿刺部(せんしぶ)や縫合部に出血・内出血・感染が起こることもあるでしょう。このような事態になると、患者さんは発熱・胸背部痛・血圧低下などが症状として現れます。ですから、患部の観察や患者さんの血圧・体温・血中の酸素飽和度などをこまめにチェックしましょう。また、患者さんが痛みを訴えたら、すぐに対処してください。

2-2.ペースメーカーの機能が正常かどうか観察する

患者さんに装着したペースメーカーが正常に働いてるかどうかは、心電図を見れば分かります。手術直後の患者さんは、心電図を取られているので設定心拍数などをこまめに観察しましょう。異常が現れたら、すぐに対処することが大切です。

2-3.患者さんへの指導方法

ペースメーカーを装着しても、患者さんは健康な人と同じような生活を送ることができます。しかし、ペースメーカーが誤作動を起こしたり、体に負担がかかりすぎないように注意も必要です。ペースメーカーを装着したうえで生活する指導をする際は、以下のようなことを重点的に行いましょう。

  • 手術後1か月は、縫合部・植え込み部に異常が起きる可能性があるため、異常を感じたらすぐに病院を受診すること
  • 電磁波によってペースメーカーが誤作動を起こす危険性と対処方法を伝える
  • ペースメーカー手帳を常時携帯する大切さと、医療機関を受診する際は提示することを伝える
  • 定期的にペースメーカーのチェックが必要なことを伝える

また、手術前や直後は患者さんだけでなく家族も不安になっています。可能ならば、家族に対してもペースメーカーをつけた人との生活方法や注意点を伝えることが大切です。

3.ペースメーカーの看護に対するよくある質問

Q.手術後しばらくしてからペースメーカーがトラブルを起こすことはありますか?
A.はい。容体が落ちついて一般病棟へ移った後でトラブルになることもあるので、心電図の観察やいざというときのための対処方法を確かめておくことが大切です。

Q.手術後に感染症が起こる可能性はどのくらいでしょうか?
A.現在は1%以下といわれていますが、ゼロではありませんので注意しましょう。

Q.患者さんが日常生活の指導を真面目に受けてくれません。
A.家族など、一緒に生活している人にも指導をしましょう。いざというときに慌てずにすみます。

Q.子どもに指導をするコツはあるでしょうか?
A.分かりにくい言葉を使わないことや、親と一緒に指導を受けてもらうことが重要です。

Q.患者さんが強い不安を訴える場合はどうしたらいいでしょうか?
A.必要ならば、精神科や心療内科の医師による治療を受けてもらうことも大切になります。

まとめ

いかがでしたか? 今回はペースメーカーを装着した患者さんに対する看護について解説しました。ペースメーカーの手術は、心臓に関連する手術の中では簡単な方です。しかし、患者さんの中には強い不安を持つ人もいるでしょう。生活の指導は不安をやわらげる効果もあります。忙しいときでも親身になって相談を受け、指導することが大切です。