看護師による医療事故を防ぐには? 予防策と対処法をチェック!

看護師として働きたいと思っているなら、医療事故についても知っておくべきです。看護師も人間なのでミスすることはあるでしょう。さらに、人手不足や長時間労働などが原因で医療事故が起きてしまうことも考えられます。看護師を長く続けている人なら、何らかのミスをしてしまった経験があるのではないでしょうか。しかし、病院は人の命を預かる場所です。医療事故を防ぐためには、一体どうしたらよいのでしょうか。この記事では、看護師による医療事故について、対策・予防法などをまとめてご紹介します。

  1. 医療事故とは?
  2. 看護師による医療事故について
  3. 看護師による医療事故が起きた場合
  4. 看護師による医療事故の対策は?
  5. 看護師による医療事故を防ぐために
  6. 看護師の医療事故に関するよくある質問

この記事を読むことで、看護師の医療事故について分かるはずです。看護師として働く前に、把握しておいてください。

1.医療事故とは?

まずは、医療事故について解説します。

1-1.どんなものか?

医療事故とは、医療にかかわる現場で発生する事故のことをいいます。医療事故と言えば、患者やその家族が被害を受けるイメージがあるでしょう。しかし、実は医師や看護師などの医療従事者が被害を受けることも医療事故に該当するのです。たとえば、医師や看護師が病院の廊下で転倒した場合や、感染被害にあってしまった場合なども、医療事故に含まれます。

1-2.医療過誤・医療ミスとの違い

よく似た言葉に医療過誤や医療ミスがあります。医療過誤・医療ミスは、医療機関側に過失があり、患者に被害が発生することです。人為的ミスが原因であり、医療従事者が対策を講じていれば防ぐことが可能だったケースをいいます。医療を行う中で生じたすべてのトラブルを指す医療事故とは異なるということを覚えておきましょう。

1-3.何が問題なのか?

本来、医療事故はあってはならないことです。しかし、現実に医療事故の発生件数は増え続けています。その背景にあるのは、医師や看護師不足でしょう。経験がある医師や看護師の離職率が高まり、医療現場における一人一人の負担が大きくなってきています。疲労やストレスがたまり、医療事故を引き起こす例は少なくないのです。つまり、「十分な人数の医師や看護師がいれば避けることができた事故」が増え続けていることが、大きな問題といえます。

1-4.起こるとどうなるのか?

実際に医療事故が起こるとどうなるのでしょうか。具体的な事例とその対応をご紹介します。

1-4-1.注射ミスによって後遺症として重度の障害が残った

看護師の注射ミスにより、患者に重度の後遺症が出てしまった事例があります。訴訟問題に発展し、最終的には看護師が勤めていた病院に6,100万円の支払いが命じられました。

1-4-2.仮死状態の乳児を死亡させた事例

仮死状態で生まれた乳児の経過観察を怠り、死亡させた事例です。死亡した乳児に1,800万円、乳児の父母それぞれに200万円の慰謝料が認められました。

1-4-3.必要な検査を怠ったことによって患者が死亡した事例

患者が糖尿病性腎症を発症していることを疑いつつも、必要な検査をしなかったことで死亡した事例もあります。血糖と血圧のコントロールをしなかったことが過失と認められ、病院側に1,600万円の慰謝料支払いが命じられました。

2.看護師による医療事故について

次に、看護師による医療事故について解説しましょう。

2-1.看護師による医療事故の危険性とは?

看護師による医療事故で起こりやすい事例には、以下のようなものがあります。

  • 薬剤の取り違え
  • 注射ミス
  • 心拍数モニターのアラームに気づかない
  • 患者の取り違え
  • 入浴介助中の事故

看護師による医療事故は、過去10年で2.5倍以上に増えています。現在は年間3000件以上の医療事故が報告されていますが、報告されていない小さな事故も含めるとさらに多いことが予想されるでしょう。

2-2.医師や病院による医療事故との違いは?

医師と看護師では立場が違います。看護師の主な仕事は患者の体と心のケアであり、医師のように医療行為をすることは法律で禁止されているのです。そのため、看護師による医療事故が直接死につながるケースは、医師に比べて少ないでしょう。ただし、看護師は医師の指示に従って投薬や注射をします。聞き間違えなどが原因で医療事故を起こしてしまうことも少なくないのです。

3.看護師による医療事故が起きた場合

看護師による医療事故が起きてしまった場合はどうなるのでしょうか。

3-1.責任は誰にあるのか?

事故がなぜ起きてしまったのか、ミスによるものなのかの判断が難しいのが医療事故です。医療事故が起きた場合、ほとんどの場合は病院と患者さんとの示談となります。しかし、ケースによっては看護師個人が責任を追及されることもあるのです。その場合、1つの医療事故で「民事責任」「刑事責任」「行政責任」という3つの責任を負う可能性もあります。最悪の場合、免許の取り消しを言い渡されるケースもあるということを覚えておきましょう。

3-2.責任の取り方について

医療事故を起こしてしまった場合、責任の取り方は難しい問題です。看護師として仕事をしていると、いろいろな処置を求められることもあるでしょう。しかし、患者の命にかかわるような大きな事故を起こしてしまうと、責任を取るために退職を考える看護師も少なくありません。

3-3.訴訟や裁判になる可能性もあるのか?

看護師の医療事故に対して、損害賠償を求める裁判に発展するケースもあります。看護師の行為に過失があり、その行為と結果との間に因果関係が存在する場合に、法的責任が問われることになるでしょう。

4.看護師による医療事故の対策は?

看護師による医療事故が起きてしまった場合の対策についてまとめました。

4-1.起きてしまった場合の対策

万が一、医療事故が起きてしまった場合は、事実を隠そうとしてはいけません。まずは、職場で信頼できる人に相談するなどして、どのように対処すべきか考えてみてください。訴訟や裁判になりそうな場合は、弁護士に相談しましょう。医療訴訟に強い弁護士はたくさんいます。その上で、今後事故を起こさないためにはどうしたらよいのか、対応策を検討する必要があるでしょう。

4-2.保険について

患者側から訴えられてしまったときのために、賠償責任保険に加入する看護師も増えてきています。この保険に加入しておくと、賠償金を補償してくれるだけでなく、その賠償責任が正当かどうかを調査してくれるのです。万が一不当に訴えられた場合には、強い味方になってくれるでしょう。ただし、故意に起こした事故の場合や規定に違反して行った行為に対しては保険金が支払われません。

5.看護師による医療事故を防ぐために

看護師による医療事故を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。いくつかポイントをまとめました。

5-1.薬や医療に関する知識を持つ

薬や医療に関する知識を高めることで、医師に指示された内容に間違いがあった場合は気づくことができるはずです。薬の取り違えもなくなるでしょう。自分だけでなく、医師やほかの看護師のミスにも気づけるようになるため、大変有効な方法です。

5-2.病院内の安全管理を見直す

病院内の安全管理であいまいな点がないか確認してみましょう。たとえば、注射器の取り違えを防ぐために、注射器の色を変えるなどの方法もあります。事前に危険因子を取り除いておくことで、医療事故を防止することができるはずです。

5-3.自分自身の体調管理も忘れずに

勤務時間が不規則になりがちな看護師だからこそ、自分自身の体調管理にも努めましょう。疲労やストレスがたまったままだと、集中力が低下してミスを起こしがちです。適度に体と心を休める時間を作るようにしてください。

6.看護師の医療事故に関するよくある質問

「看護師の医療事故について知りたい」という人が感じる疑問とその回答をまとめました。

6-1.医療事故を起こした看護師が懲役などに科されることもあるのですか?

A.看護師の重大な過失によって患者を死傷させてしまった場合、5年以下の懲役もしくは禁固、または100万円以下の罰金に処せられることもあります。

6-2.医師の指示が分かりにくいことが原因で、医療事故が起こる可能性もあるのですか?

A.看護師の9割以上が「医師の指示書が不明確なことがある」と答えています。看護師が気をつけていても、医師との意思疎通がうまくいかずに医療事故が起こる可能性もあるのです。

6-3.医療事故を防ぐために気をつけるべき新人看護師の扱いを教えてください。

A.最近は大卒で高度な医療知識を持つ看護師も増えてきています。しかし、即戦力を期待するとプレッシャーに押しつぶされてしまう危険があるでしょう。余裕を持って新人育成ができる職場作りを心がけてください。

6-4.どんなときに医療事故が起こりやすくなりますか?

A.特に、忙しいときや忙しさが一段落して肩の力が抜けたときなどが要注意です。もちろん、看護師の性格によってもミスを起こしやすい状況は変わってくるため、自分がどんなときに平常心を失いやすくなるか確認しておきましょう。

6-5.医療事故が怖いので転職を検討しています。看護師の資格を生かせる職業にはどのようなものがありますか?

A.医療事故を防ぎたいなら、患者の治療に直接関与しない職場への転職を検討することも1つの方法でしょう。病院以外で看護師資格を生かせる職業としては、ツアーナースやイベントナース・産業看護師・訪問看護師などがあります。

まとめ

いかがでしたか? 看護師による医療事故について、問題点や対処法・予防法などをまとめてご紹介しました。医療事故は決して起こしてはいけないものです。しかし、予測できない事故が起きてしまうこともあるでしょう。大きな事故を起こしてしまい、看護師を続ける自信をなくしてしまう人も少なくありません。そうならないためにも、医療事故がどのようなものなのか、起こさないためにはどうしたらよいのかを知っておきましょう。