看護師が起こしがちな医療ミスや医療事故とは? 予防方法はあるの?

看護師たびたびテレビや雑誌で取り上げられる看護師の医療ミス。
「ひとごとではない」と思っている方も多いでしょう。
医療の現場にミスは許されないことですが、「絶対にミスをしない」と断言することもできません。
そこで、今回は看護師が起こしやすい医療事故についてご説明しましょう。
医療事故の原因が分かれば対策も立てやすいです。
また、医療ミスや医療事故が起こると医師や看護師を非難する声が高まりますが、それだけでは何も解決しません。
看護師の方はぜひ読んでみてくださいね。

目次

  1. 看護師が起こしやすい医療ミスや医療事故とは?
  2. なぜ、医療ミスや医療事故が起こるのか?
  3. 医療ミスや事故を防止する対策や実際に起きてしまった場合の対処法とは?
  4. おわりに

1.看護師が起こしやすい医療ミスや医療事故とは?

まず始めに、看護師が起こしやすい医療ミスや医療事故をご紹介します。
いったいどのようなものがあるのでしょうか?

1-1.与薬(よやく)ミス

与薬(よやく)のミスは看護師が最も起こしやすい医療ミスです。
薬の取り違えだけでなく、与薬(よやく)の量を間違えるミスを起こす場合もあるでしょう。
また、患者に与薬(よやく)を禁止されている薬を間違えて投薬してしまうこともあります。

1-2.看護をしている最中のミスや事故

看護師の仕事はたくさんあります。患者を看護している最中に、ミスや事故を起こしてしまうこともあるでしょう。
「患者の足の爪をあやまって深く切ってしまった」というのも立派な医療事故です。
また、床ずれの処置も間違えれば医療事故につながります。
さらに、入浴の介助をしているときにお湯の温度を間違えたり、食事の介助をしている際に誤嚥(ごえん)をさせてしまったりというような事故も報告されているのです。

1-3.患者の取り違え

手術をする患者や赤ちゃんを取り違えてしまうミスも、たびたび報告されています。
これは、看護師だけの責任ではないかもしれません。
しかし、患者と一番多く接するのは看護師です。
赤ちゃんのお世話をしたり患者を手術室まで連れて行ったりすることもあるでしょう。
ですから、看護師が注意を払っていれば防げるミスもあったはずです。

2.なぜ、医療ミスや医療事故が起こるのか?

では、なぜ医療ミスや医療事故が起こるのでしょうか?
医療ミスや医療事故がテレビや雑誌で報道されるたびに、医師や看護師の不注意を非難する声が上がります。
厳罰を望む声もあるでしょう。
しかし、ただ単に処罰を厳しくすれば医療ミスや医療事故が減るわけではありません。
この項では、本人の不注意以外で医療事故や医療ミスが発生する原因をご紹介します。

2-1.人手不足

看護師の数が足りない、という病院は多いです。
募集をかけてはいるけれど人が集まらない、という病院も少なくありません。
必要最低限の人数で看護を行っていると、必然的に仕事も増えるでしょう。
また、患者ひとりひとりにかけられる時間も減ってきます。
ですから、与薬(よやく)をするときも、つい流れ作業のように行ってしまうこともあるでしょう。
そんなときにイレギュラーな仕事が入れば、医療ミスや医療事故が起こりやすいのです。

2-2.疲労

看護師は重労働です。
勤務時間も不規則なうえ、体力勝負な面もあるでしょう。
そこに人手不足が重なれば、「疲れていても休めない」という状況になりがちです。
疲労がたまると注意力が散漫(さんまん)になり、集中力も低下します。
「なんでこんなミスをしてしまったのだろう」と思うような、ミスや事故を起こす可能性もあるでしょう。
また、休日返上で働いていると、仕事に対するモチベーションも低下していきます。

2-3.医療技術の複雑化

今の医療にはさまざまな選択肢があります。
たとえば、与薬(よやく)する薬も正規品がジェネリック医薬品化を選べるでしょう。
つまり、同じ病気でも患者によって治療法がかわってくるのです。
患者から見れば、選択肢が増えるのはよいことでしょう。
しかし、医療従事者にとっては覚えなければならないことが増えて大変です。
特に、何十人もの患者をひとりで受け持っているような場合だと、「どの患者にどのような看護をしなくてはならないのか」ということを覚えきれないこともあります。
また、薬の種類が増えすぎると、似たような名前の薬を間違える確率も高まるでしょう。

2-4.プレッシャー

最近は、「モンスターペイジェント」という言葉が出てくるようになりました。
これは、医師や看護師に暴力的な言葉を投げかけたり実際に暴力をふるったりする患者のことです。
また、看護師にセクハラじみた態度を取る患者もいるでしょう。
さらに、患者の家族が看護のやり方に文句を言ってくる場合もあります。
かつては医療事故や医療ミスを隠ぺいする病院もあり、問題になったこともありました。
しかし、そのような事例を持ちだして「医療ミスを隠しているのではないか?」「医療事故を起こすのではないか」と疑うような態度で接せられては、看護師も気が休まらないでしょう。
このような患者や患者の家族から受けるプレッシャーが原因で、医療ミスや医療事故が起きる可能性もあるのです。

3.医療ミスや事故を防止する対策や実際に起きてしまった場合の対処法とは?

最後に、どうすれば医療ミスや事故を防止できるかその対策の一例をご紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。

3-1.職場ぐるみで事故やミスを防止することが大切

医療事故や医療ミスは、個人で気をつけていても完璧に防止することは不可能です。
ですから、職場ぐるみで対策を取ることが大切でしょう。
たとえば、紛らわしい薬の名前は引き継ぎの際に注意を喚起(かんき)したり、与薬(よやく)の前に複数でチェックしたりすることが大切です。
与薬(よやく)事故を防止するための「6R」を徹底することも大切でしょう。
また、疲労がたまっている場合は速やかに有給休暇を取れるシステムも大切です。
「がんばれば精神力で乗りきれる」ということはありません。
限界を超えた仕事を個人に押しつけないようにするべきでしょう。

3-2.新人に即戦力を期待しない

今は大卒の看護師も増え、高度な医療知識を持つ看護師も珍しくありません。
しかし、新人はあくまでも新人です。
即戦力を期待しすぎると、プレッシャーに押しつぶされてしまうでしょう。
新人を育成する余裕を職場に持たせることが大切です。

3-3.いざというときのため、保険に加入する

今は、「看護職賠償責任保険制度」というものがあるのです。
これは、万が一医療ミスや医療事故が起きて患者や遺族から訴えられた場合、独自の調査機関で原因を究明してくれたり遺族や患者との対応にあたってくれたりします。
日本看護協会会員であれば誰でも加入できますから、入っておいて損はありません。

3-4.もし、医療ミスや医療事故が起きたら?

万が一医療ミスや医療事故が起きたら、決して隠ぺいしたりごまかそうとしたりしてはいけません。
まずは患者の命に別状がないか確認し、看護師長など責任者に事態の経緯を報告します。
医療事故が起きた場合は病院全員の責任になりますから、院長や外部機関の調査が入ることもあるでしょう。
すぐに応じられるようにカルテや事故の原因になった薬の袋などの証拠品はひとまとめにしておいてください。
また、医療事故が起こるまでの経緯をできるだけ詳しく、複数人の証言でまとめておきましょう。

4.おわりに

いかがでしたか?
今回は、医療事故や医療ミスが起こる原因や予防法をご紹介しました。
まとめると

  • 医療ミスや医療事故の原因を個人だけに押しつけることはできない。
  • 職場ぐるみで対策を立てることも大切。
  • 万が一のため、保険に入っておこう。

ということです。
この記事を参考に、職場でもどうすれば医療事故を予防できるか話し合ってみてください。