看護師の業務改善について知りたい人!取り組み事例や効果を教えます!

最近、看護師の業務改善が注目されているのはご存じでしょうか。以前は、看護師という職業は「専門職」として仕事を最優先することが求められていたため、仕事と私生活の両立が難しい状態でした。しかしながら、看護師も「生活者」であり、個人としての生活が成り立たなければ看護職を継続する人の確保も難しく離職者を減らすこともできません。そこで、看護師の「ライフ・ワーク・バランス」を考え働き方を多様化しようという業務改善が進んでいるのです。でも、「具体的にはどういうこと?」と思う方も多いでしょう。そこで、ここでは看護師の業務改善の取り組みや具体例、効果などについてご説明します。

  1. 看護師の業務改善について
  2. 看護師の業務改善の取り組みについて
  3. 看護師の業務改善の効果について
  4. 看護師の業務改善〜よくある質問〜

この記事を読んでいただくことで、業務改善に関する疑問が解決できるでしょう。看護師として就職・転職を考えている人はぜひお役立てください。

1.看護師の業務改善について

看護師業務の現状や問題点などとともに、業務改善がなぜ必要とされているのかなど、基本的なことをご説明しましょう。

1-1.看護師業務の現状

まずは、看護師業務の現状について学びましょう。

1-1-1.2017年病院看護実態調査

公益社団法人日本看護協会では、看護業務の実態把握などを目的として、毎年「病院看護実態調査」を行っています。そして、2017年度の調査の中にある「看護職員の労働条件」では以下のような結果が出ました。

  • 夜勤形態:最も多いのは「二交代制(夜勤1回あたり16時間未満)」。前回と比較すると「16時間以上の夜勤の割合」が増加
  • 夜勤手当:二交代制夜勤10,999円・深夜勤5,066円,三交代制準夜勤4,149円で、いずれも前年より少し上昇
  • 給与の状況:2018年度採用予定の新卒看護師の予定初任給は「高卒+3年課程卒」26万6,041円、「大卒」27万3,854円、いずれも前年より上昇
  • 基本給の決定基準・要素:前回よりも「年功だけ」の割合は減少し、「年功・能力・職務」の組み合わせが増加
  • 離職率:正規雇用10.9%、新卒7.6%で横ばい傾向が続く

1-1-2.看護師の現状の問題点

看護師の現状の問題点としては、前項でも説明したように「11%近い離職率が続いていること」が挙げられます。現状では、看護師の需要や就業者数は年々増加傾向にあるといわれながらも、供給が追いついていないのです。看護師が離職する理由はさまざまですが主に以下の理由が挙げられています。

  • 結婚、妊娠、子育てとの両立が難しい
  • 勤務時間が不規則
  • サービス残業が多すぎる
  • 仕事がハードで自分自身が健康を害してしまった
  • 給料が安い
  • 休みが取りづらい

特に、地方では大幅な人手不足により、1人あたりの労働時間が長くなる傾向にあります。そのため、休みが取りづらく「精神的にも肉低的にも負担が大きい」という声も少なくありません。

1-1-3.看護師の業務改善の必要性とは

今、随所で「看護師の業務改善の必要性」が問われています。というのも、本格的な少子高齢化時代を迎え、医療機関や医療施設が増加中のため、看護師需要がますます高まっているからです。また、介護保険制度が開始され、在宅医療や施設系介護サービスの現場でも看護師が求められています。しかしながら、いまだに看護師の待遇や離職問題は改善されたとはいえません。そのために、看護師が能力を十分に発揮できる環境作りや労働に見合った待遇を受けられるような業務改善が急がれているのです。

2.看護師の業務改善の取り組みについて

さて、前項でご紹介したような看護師業務の現状を受け、どのような改善の取り組みが進んでいるのでしょうか。取り組みの事例や方法、ポイントなどをご紹介します。

2-1.看護師の業務改善〜取り組みの事例〜

業務改善とひとくちにいってもさまざまな方法があります。実際に取り組んだ病院の具体例を挙げてみましょう。

  • ナースステーションを中心とする病棟内の煩雑さを改善するために整理整頓をした
  • 4名編成の3チームを6名編成の2チームに変更。6年以上のキャリアがある看護師をリーダーにしチーム全体を把握しやすいようにした
  • チームで受け持ち部屋を決め、担当する患者さんの入院から退院まですべてを看(み)る「固定ナーシング」を導入。患者さんとの会話を増やし責任の所在も明らかにした

上記のような業務改善により、以前は1か月平均10時間だった時間外勤務が4時間弱に減りました。さらに、2年間での退職者は産休と結婚による引っ越しの2名だけという変化を遂げたのです。

2-2.看護師の業務改善〜取り組み方について〜

看護師の業務改善の具体的な取り組みは、それぞれの医療機関などの現状に即した主体的な方法を行うことが大切です。取り組みが進んでいる方法やポイントなどをご紹介しましょう。

2-2-1.ライフワークバランスに合った「選べる勤務スタイル」

看護師それぞれのライフワークバランス(仕事と生活の調和)に合わせ勤務スタイルを選べるようにする方法です。たとえば、以下のような事例があります。

  • 短時間正職員制度の導入:フルタイム〜短時間勤務まで数パターンを作り、正職員は自分のライフスタイルに合ったパターンを選べる
  • 勤務ステップシステムの導入:週20時間以下のパートタイム〜フルタイムの正職員まで7段階の勤務ステップシステムの採用。職員が自分の希望に合わせて選べる
  • 期限付きで希望者を夜勤専属勤務に:独身者や男性職員など「夜勤でもOK」という希望者を募り期間限定で夜勤専属勤務に。夜勤看護師数不足を解消する

2-2-2.子どもがいる看護師への支援

小学校就学前〜小学生までの子どもがいる看護師が、出産・子育てで仕事を辞めなくても済むように経済的な支援をする方法です。たとえば、以下のような事例があります。

  • 小学校就学前の子どもがいる看護師には保育料を支援
  • 夜勤者にはベビーシッター費用の補助
  • 小学生がいる看護師には育児手当を支給したり勤務時間の短縮したりを実施

2-2-3.業務の分担を整理する

看護師1人あたりの業務分担を見直し整理することで負担を減らし仕事がしやすくする方法です。たとえば、以下のような事例があります。

  • 看護補助者を1つにまとめ、全病棟で共通に仕事を依頼できるシステムに変更
  • 職業間で話し合いをし業務を分担。看護師は看護師にしかできない専門的な行為だけをしてもらうことで負担を減らす

2-2-4.復職者へのサポートやOB職員の採用

さまざまな理由で1度看護師を離職した人が復職しやすいようにサポートをする方法です。たとえば、以下のような事例があります。

  • 心肺蘇生(そせい)や注射などのトレーニングを実際の病院で行う「復職支援セミナー」で、復職前の不安を解消し勘を取り戻してもらう
  • 定年退職した看護師で再雇用を希望する人を採用し活躍してもらう

2-2-5.職場環境を整える

職場の環境を改善し整えることで、より仕事に集中できるようにする方法です。

  • 仕事をするフロアとは別のフロアに休憩施設を設ける
  • 看護師だけではなく、医師や事務職員などさまざまなスタッフが集まれる休憩場所を設け、コミュニケーションを取りやすくする

2-3.看護師の業務改善〜取り組みの注意点〜

業務改善で注意点として挙げられているのは「単純に看護師の人数を増やすだけでは解決できない」ということです。

  • 看護師個々の能力を向上させる
  • 働きやすい仕組みを再構築する
  • 看護師の結婚や出産などのライフステージの変化に対し、一時的な産休・育休で解決しようとしない。長く仕事を続けられるようにライフワークバランスを考慮した改善をする

小手先の改善ではなく、雇用側も働く側も継続できる方法が求められるのです。

3.看護師の業務改善の効果について

看護師の業務改善により得られる効果やメリット、注意点などをご紹介しましょう。

3-1.業務改善の取り組みの効果

前項でご紹介した業務改善の取り組み方法により、実際に以下のような効果が得られています。

  • 自分のライフスタイルに合った勤務時間帯を選べることにより、働き方の選択肢が広がり退職者が減った
  • 多忙や仕事と子育ての両立による悩みが減り仕事を続けられる人が増えた
  • 結婚・出産を契機に勤務ペースを落とし、子育てが落ち着くと同時に元に戻すなど、ライフステージに合わせて勤務時間の増減ができる
  • 保育料などの支援により育児休暇や産前産後休暇取得者がほぼ復職した
  • 復興支援セミナーの実施により離職者は安心して復職ができる
  • 退職したOB看護師が復職することにより、若手看護師の負担が軽減される
  • 仕事場と休憩場所のフロアを分けることで十分に休憩が取れ、休憩後の作業能率もアップした
  • さまざまなスタッフが集まる休憩室を設けたことで、全員のコミュニケーションが取りやすくなった。さらに、全員が協力体制を取ろうというモチベーションがアップした

4.看護師の業務改善〜よくある質問〜

看護師の業務改善に関してよくある質問をご紹介しましょう。

Q.看護師の「多様な勤務形態」にはどのようなものがあるのでしょうか?
A.知っておきたい「多様な勤務形態」の例をご紹介します。

  • 短時間正社員制度:フルタイム正職員より1週間の労働時間が短い正職員制度
  • フレックスタイム:一定の時間帯の中で個々が始業・終業時間を決定できる制度
  • ワークシェアリング:複数の労働者が1つのフルタイムの仕事を分担し、働いた時間で給与を分ける
  • 時差出勤・退勤:人によって出勤や退勤時間に時差をつける
  • 圧縮労働時間制:通常よりも短い期間内での「総労働時間数」の契約
  • 選択可能な交代制勤務形態:複数の交代制勤務時間帯があり自分の都合で選択が可能

Q.今の職場から転職したいのですが転職先の病院を比較検討して探している時間がありません。

A.働く看護師さんの転職をサポートする民間のサービスを利用するのがおすすめです。看護師転職に特化し、希望する条件にあった求人情報を探したり医療機関との面談日程を調整したりしてくれます。「看護師キャリアアップ」は、転職のプロがサポートするサービスで登録費用が一切かかりません。詳しくはこちらをごらんください。

Q.看護師転職サイトは、いろいろあるので何を基準に選んでいいかわかりません。
A.一般的には、3〜5ほど複数のサイトに登録し情報を比較検討している人が多いようです。大手と中小のサイトを組み合わせて利用するほうがさまざまな情報を入手できるでしょう。

Q.看護師のワークライフバランスを推進している施設などを知りたいのですが。
A.公益社団法人・日本看護協会では「看護職のワーク・ライフ・バランス」というページがあります。そちらの「取り組み事例」では推進している施設の取り組みを検索できるので、こちらをごらんください。

Q.看護師の転職に有利なキャリアアップ資格はありますか。
A.現在では、看護師の働き先も多彩になってきました。そこで、よりよい条件で転職をするのであれば自分のスキルを上げておくことも必要でしょう。転職に役立つ資格には以下のようなものがあります。

  • 専門看護師や認定看護師
  • 認定看護管理士
  • ケアマネージャー
  • 保健師や助産師
  • 心臓リハビリテーション指導士
  • 透析技術認定士
  • 糖尿病療養指導士

将来どのような現場で活躍したいのか目標を定めてから資格取得を目指したほうがいいでしょう。詳しくは、こちらの「転職に役立つ認定資格」もごらんください。

まとめ

いかがでしたか。看護師の業務改善の取り組みや具体例、効果などについてご説明しました。昔は、「看護師はハードなのに給料が安い仕事の代表」などとされていたものです。けれども、最近では働く看護師がよりよい環境で働けるように、勤務スタイルを多様化したり負担を軽減したりする医療施設が増えています。仕事と私生活の両方を大切にするライフワークバランスを考えてくれる職場なら、能力を十分に生かすことができるでしょう。看護師として就職を考えている人や、現在の職場から転職したい人はぜひ参考にしてくださいね。